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43ビルダー的旋盤導入記

買うべきか、買わざるべきか・・・
旋盤といえば我々43ビルダーの間では凶悪な機械、導入すれば深入りしすぎて43的廃人になるなどと言われ、なかなか購入に踏み切れない敷居の高いツールの代表です。使いこなせれば精密な挽き物を自在に制作できる反面趣味としてはかなり思い切った投資が必要ですし、買えたとしても取り扱いは難しい、なにより普通に製作するにはなくても全く問題がないのです。しかしここ数年でプロ、アマチュア問わず製作レベルが上がってきたせいかちょっと状況が変わってきました。最近私の周りでも旋盤を持っている人たちが増えてきましたし、詳細に扱い方を公開しているホームページも登場してより身近に感じるようになってきました。そんな中、周りに影響を受けやすい私もぐぐっと旋盤導入に傾いてきたわけです。なけりゃないで困らないのはわかっていてもあれば工作の幅が広がるしなにより旋盤で遊ぶこと自体楽しそうじゃないですか。最近製作にも飽きてきて身が入らないので目先を変える意味で、そしてよりディープに43趣味に浸るため旋盤導入に踏み切ることにしました。迷っているあなたも一緒に旋盤しませんか?
以下の記述は旋盤をほとんどさわったことのない私がネットや書籍で得た知識から43ビルダーのために書いております。本格的に機械工作を趣味とされている方々には全く参考になりませんのでご承知おきを。

どの機種を選ぶ?
43はものが小さいだけに旋盤作るといっても、最大パーツであるタイヤでさえ直径15〜6mm程しかありません。精度への要求は低く、また素材もアルミ、真鍮、ABS樹脂のようなやわらいものなのであまりパワーも要求しません。そんな43ビルダーに人気の旋盤といえば東洋アソシエイツの
ミスターマイスターKS-200サカイのML-210、プロクソンマイクロレースPD230等のミニあるいはマイクロ旋盤と呼ばれる機種です。小さな面積に設置できますし、軽いので必要なときだけ作業机に乗せて使うことも出来ます。この3機種、同じような大きさながらサカイML-210やPD230はKS-200に比べて本体価格が2〜3倍ほどもしますし、必要な各種オプションも高価で比較の対象になりにくく、入門用としては実売4万円程度で買えるKS-200が導入検討の最右翼となります。現在ではKS-200に強力なライバルというか後継機種が登場しました。2006年8月にミスターマイスターシリーズCompact3が発売されたのです。私はこれを購入することにしました。
「小型金工木工旋盤KS-200で培ったお客様の声を元に造り出された精密ミニ旋盤」と銘打っているだけにKS-200に様々な改良が加えられています。両機種の比較を下にまとめてみます。

主要スペック比較 Compact3 : KS-200
心間        150mm : 200mm (-50mm)
ベッド上振り    110mm : 85mm (+25mm)
回転速度    0-3500rpm : 130-4000rpm
*ただしCompact3はダイアル式無段変速、KS-200では2段変速及び駆動ベルト掛け替えによる
モーター出力     150w : 95w (+55w)
幅         410mm : 440mm (-30mm)
奥行き       195mm : 240mm (-45mm)
高さ        235mm : 140mm (+95mm)
重量         13.5kg : 8.6kg (+4.9kg)

 違いその一:小型化
工作物の大きさを決める心間(加工できる工作物最大全長)、ベッド上振り(同直径)はどちらも十分以上。むしろ心間を50mm縮めて本体が更にコンパクトになったのは長尺物を扱わない我々には歓迎すべき点。ウソみたいだけど大きめのノートPCがおける程度の場所があればOKなんです。KS-200と共通の欠点としては心間狭いので作業スペースも狭くなるので刃物の付け替えなど結構やりづらい。また小型化に伴って回転ハンドル半径が小さくなっている上に動きが渋いためとても使いにくいのでハンドルを取り替えると良さそうです。
 違いその二:パワーアップ&無段変速化
パワーが6割り増しの無段変速カーボンブラシモーターになったことで余裕が生まれ、面倒なベルトの掛け替えが不要に。ただし、刃物にかかる抵抗とともに回転数が変化しやすいカーボンブラシモーター(フィードバック機能は未搭載)は旋盤としてはむしろ改悪ともいえるかもしれません。とはいえ、削るのは硬くても真鍮程度だし、上位機種でよりハードな工作向きのCompact7(心間250mm、ベッド上振り140mm、23kg)にも同等のモーターが採用されているくらいなので実際は問題にならないでしょう。43製作では手軽な無段変速であることのメリットの方が大きいと言えます。
 違いその三:重量増
設置面積は小さくなったのに重量はKS-200の6割り増しの13.5kgとなり、もはや気軽に動かせる重さではありません。実際持ってみると、見た目から想像される重さの1.5倍くらいに感じられて思わずひるんでしまうほど。強力なモーターと頑丈になったベッド(シャシのあたる部分。この剛性は旋盤の精度に直結する)が重くなった主な理由でしょうが、旋盤などの工作機械ではある程度重量がある方が扱いやすいとされているのでむしろ改良と言えなくもありません。
 違いその四:安全性向上
Compact3ではチャック部分を覆う透明プラスティック製チャックガードが付き、安全装置(開状態ではモーターが回転しない)を兼ねています。作業中に回転するチャックに指が触れて怪我をする危険がないし、チャックピンを付けたままチャックを回転させてピンを飛ばしてしまうような事故を起こすこともなくなりました。また刃物台をチャックに近づけるとチャックに触れて壊してしまう前にこのカバーに当たるようになっています。安全性が重視されていますがこれは工作機械では重要なことです。
 違いその五:気配り
Compact3ではベッド後方にスプラッシュガードが標準で付いていて作業環境を汚さない工夫がされています(刃物の付け替えなどでは邪魔になってしまいますが)。親ネジ(刃物台を左右に動かすネジ)にカバーが付いていて切り子が噛み込みにくい構造になっているのでメンテナンスが楽(ただし裏側にはカバーがないので一旦切り子がつくとかえって掃除しにくい)。またKS-200はベッドが載っているベースに作業台に固定するためのボルト穴が空いていますが、Compact3ではゴムブッシュの足がついています。これもこの手の旋盤の使用状況を考えれば理にかなった改良と言えます。Compact3で全高が高くなっているのは、ベッド上振りが大きくなっただけではなく、モーターコントロール用のボードがベース部分に内蔵されているためです。ベース自体はしっかりしており重心は高くなっても安定性に問題はないようです。
 違いその六:実質的低価格化
KS-200では心押し台につくセンターが固定センターで必需品である回転センターはオプション扱い(4500円)でしたがCompact3では標準になりました。また各種オプション価格が大幅に安くなりました。本体の実売価格はKS-200の方が1.5万ほど安い(メーカー希望小売価格は同じ58800円)のですが必要なオプションを含めた価格はほぼ同じになります。
トップスライド 6720円 : 13650円 (-6930円)
固定振れ止め 4935円 : 9765円 (-4830円)
自動送り装置 7140円 : 10500円 (-3360円)
*現在のところCompact3には二面刃物台、コレット等が用意されずKS-200のオプションパーツの流用も限定的。コレットは問い合わせが多いので発売を検討中とのことです。

このようにあえてKS-200を選ぶ理由がないといえる位様々な改良が施されてます。今後実売価格が下がりオプションも増えてくるという期待ももてます。

Compact3の弱点を挙げればオプションパーツの種類の圧倒的な少なさが挙げられます。心押し台がテーパーでないなど、汎用パーツを利用しにくい欠点もあります。また旋盤でよくあるミーリングアタッチメント(フライス)と、ねじ切りには対応していません。オプションパーツに関しては現状でも最低限のものが用意されていますので今後に期待しましょう。ミーリングアタッチメントはプロクソン等から使い勝手の良い単体フライスがより安い価格で出てるのであえてアタッチメントとして必要とは思えません。ねじ切りは43では必要ないし、やりたい場合は手回しのタップ・ダイスを使えばすみますのでこれも必須の機能とは言えません。43以外にもいろいろ使いたい方は上位機種のCompact7かML-210が良いのではないでしょうか。特にCompact7はML-210より一クラス上ですが価格的にはむしろ安く競争力があります。

購入する
梱包重量は15キロを超えるので腰の悪い私には電車で持って帰ってくるのもちょっと辛い。通販という手もあったけど、事情があって今回は車で秋葉原まで行きヒロセテクニカルというお店で直接購入しました。本体のみ(55000円位だったかな?)を買って帰り、オプションパーツは東洋アソシエイツのオンラインショッピングを利用しました。購入したのは以下のパーツ
1.ドリルチャック5460円
2.センタードリル1890円
3.固定振れ止め4935円
4.超硬突っ切りバイト4410円
合計約17000円也(後で気がついたけど全部ヒロセテクニカルの通販で買えばもっと安かった)。その他のバイト(刃物)はお試し用の直剣ハイスバイトが一本つくだけなので長尾研究所(http://nagao-kenkyusyo.de-blog.jp/)からアルミ用セット(ABSもOK。可変すくい角で真鍮も兼用)7本組で9800円也を購入。。他に油脂類、必需品の参考書「ミニ旋盤を使いなす本」など付属品だけで約3万円程必要なので総計約9万円と結構な買い物です。もう後戻りは出来ません・・・。

サカイML-210 123000円、実売10万。プロやハイアマチュアに人気の機種。高精度、軽量コンパクトでなんといってもアクセサリーも豊富で発展性がある。入門機としては高価なのが難点だけど予算が許せば是非欲しい。
プロクソンマイクロレースPD230 155400円、実売11万。全然似てないけどML-210の兄弟機らしい。軽いけど大きめ。いくつかアクセサリーが付属するけど高価。
ミスターマイスターKS-200 58800円、実売4万。安価、コンパクト、シンプル。定番の入門機。在庫限り?中古市場に注目。
ミスターマイスターCompact3 58800円、実売5.5万。43ビルダー本命?の最新機種。低価格、コンパクト、ハイパワー、安全性重視。アクセサリー少ないが今後に期待。
アルトNewAlt2000 90300円、実売不明。輸入製品、マイナー、軽量コンパクト、ハイパワー、安価なアクセサリーもあるけどちょっと少なめ。バイトが6mm角と特殊なのが問題かも。
Compact3上面操作パネル
上の赤いのは速度調節ダイアル、下は緊急停止ボタン
ミスターマイスターCompact7 99750円、実売8万円。Compact3の上位機種。デカイ、重い。アクセサリー豊富
チャックガード(写真はCompact7)
背面を覆うスプラッシュガード
本体をダンボールで囲う必要がなくスマート。アクセサリーとして用意している機種もあるけどかなり高価。
トップスライド6720
テーパー削りに使います。今回は見送り
固定振れ止め4935円
ベッドに取り付けて工作物を半固定します
ドリルチャック5460円
主軸チャック反対側の芯押し台に付けてドリル等を掴みます
センタードリル1890円
工作物の端面に回転センターで押す穴を空けます
突っ切りバイト4410円
超硬の替え刃の代わりにカッターナイフを加工した姿バイトを掴む事も出来るかな?